慰謝料について
よくテレビや日々の会話の中で「慰謝料払って」と言葉で出ることがあります。では慰謝料って何と言われても???よくわからに方が大半かと思います。イメージとしては悪い事をした人がお金を支払うことだと思いますが、ここでは詳しく慰謝料について説明していきます。
1.離婚における慰謝料
よくテレビや日々の会話の中で「慰謝料払って」と言葉で出ることがあります。では慰謝料って何と言われても???よくわからに方が大半かと思います。イメージとしては悪い事をした人がお金を支払うことだと思いますが、ここでは詳しく慰謝料について説明していきます。
(1)慰謝料と損害賠償の違い
難しく言うときりがないので簡単に言えば、慰謝料は精神的に苦痛を受けた場合に生じるもので、損害賠償は何か物が壊れた、損失を被った場合に生じるものです。大雑把に言えば精神的か否かがポイントです。
簡単に言えば「ごめんなさい」を金額に換算したものが慰謝料です。
(2)どんな時に慰謝料が請求できるのか?
精神的苦痛が存在しないと請求できません。なので、精神的苦痛が存在しない「離婚」では慰謝料請求はできません。例えば…
- 性格の不一致による離婚
- 価値観の相違による離婚
など、どちらかが一方的に悪いわけではない場合は、慰謝料の請求はできません。よって、精神的苦痛があれば慰謝料請求はできます。不倫による慰謝料請求は「不貞行為」が必要です。不貞行為の詳細については、こちらをご参照ください。
では「不貞行為」でなぜ慰謝料請求ができるかというと精神的苦痛はもちろんのこと、法律、不貞行為事態が「悪いこと」とされているからです。さらに言うと不貞行為は性行為なので、結婚している人が不倫をして性行為することは法律上「悪いこと」とされています。
(3)慰謝料請求できるのは不貞行為の時だけなのか?
慰謝料=不倫の時だけ・・・とイメージしがちですが、請求できるのは不倫の時だけではありません。離婚による慰謝料を請求できるのは「有責不法行為」に至る場合です。
有責不法行為とは、夫婦それぞれに夫婦として課せられた責任、義務に反する行為のことです。簡単に言えば、夫婦に課せられた義務を怠った場合、慰謝料ができるということです。
慰謝料が請求の例
- 暴力をふるう
- 健康なのに仕事をしない
- ギャンブルにのめりこむなど
- 夫婦として協力しない(協力扶助義務)
などなど。もちろんこの中に先程の貞操義務(不貞行為)も含まれます。
あいまいなところでは、「性格の不一致」
「配偶者の性格が悪い」などというのは、その人にとっては悪いことかもしれませんが、法律上悪いとまで言えません。法律上悪いと言えなければ、慰謝料の請求もできません。よって性格の不一致によって精神的苦痛に至っても慰謝料の請求はできません。
(4)慰謝料の額はどのようにして決まるのか?
精神的苦痛と言っても、人によって苦痛と思える内容は様々。例えば旦那さんが不倫したことによって精神的苦痛を受けた場合、1億円の性質苦痛を受けたという人もいれば、1万円という人もいます。
慰謝料の額は、その被害(苦痛)の程度、加害行為の内容が考慮されまた、当事者双方の社会的地位や経済状況などを考慮して算定されます。
社会的地位や経済状況を例に言うと、芸能人や経営者の方の離婚。
一般の方が不倫を原因とした離婚となった場合の慰謝料は相場100万円~300万円位と言われていますが、芸能人、経営者の方で金銭資産があれば数千万、外国の映画俳優とかであれば数億円等幅が広いです。
不倫による慰謝料の相場はありますが、金額に明確な基準はありません。ここで重要なのが、被害者と加害者が金額に合意して決定することができるか否かです。
簡単に言えば、200万円の慰謝料請求ができる不倫であっても、被害者の方が100万円で納得(合意)すればそれ以降、慰謝料請求はできません。
逆に双方合意に至らなければ→ 調停→裁判へと発展します。
2.慰謝料ができる条件
慰謝料の定義はこちらで詳細を説明してありますが、では不貞行為があれば必ず慰謝料請求ができるかというと、必ずできるとも言えません。ここでは、不倫による慰謝料請求ができる条件をまとめてみました。
不倫による慰謝料請求の要件
- 条件1 不倫に「故意」「過失」がある
- 条件2 違法性がある
- 条件3 加害行為と損害に因果関係がある
- 条件4 婚姻関係が破綻していない
(1)不倫に「故意」「過失」がある
✔「故意」とは
「自分の行為が他人の権利・利益を侵害する結果となることを知りながら、あえてその行為をすること」です。
またまた難しい言葉がでてきましたが、簡単に「不倫」で説明しますと‥‥不倫相手に配偶者がいることを知りながら肉体関係を持つことによって、夫婦関係が悪くなると認識しており、また不倫された配偶者が精神的苦痛を受けることを認識している状況を意味します。
もっと簡単に言えば大人になれば誰でも「不倫」は悪い事だと認識しているはずで、それを知って不倫をした場合、その加害者には「故意」(悪い事をしたと認識している)があると言えます。
✔「過失」とは
大雑把に言えば「間違い」です。誰でも間違いはありますが、間違いは「不注意」から生じるものです。よって、不注意がなければ「間違い=過失」は発生しません。なので「過失(間違い)」があっても、その人の不注意で、慰謝料を支払わなければいけません。
✔「出会った当初、独身だ」と偽った場合…
この場合、「故意」「過失」があるとは言えません。なので、慰謝料が請求されることもないでしょう。しかし、結婚しているを判明した後も不倫関係を継続した場合、「故意」「過失」があると言えます。
✔「離婚するから」と、離婚前提でお付き合いした場合
この場合は、慰謝料が請求されます。なぜなら、不倫相手が配偶者と「離婚するから」「嫌いだから」と言っても、配偶者が離婚する意思がなければ離婚は成立しませんし、何より、まだ「婚姻関係が継続」している限り、「不倫」となります。
このような相手の言葉を信じたい気持ちはわかりますが、弊害、トラブルを防止するには「離婚」してからお付き合いした方が無難かと思います。離婚後に付き合えば「不倫」にはなりません。
(2)違法性がある
そのままですね。法律に反している事です。この場合、「違法性=相手の家庭に迷惑をかけた」事を意味します。不倫相手、本人ともに、配偶者に迷惑をかける当然の違法性です。
(3)加害行為と損害に因果関係がある
またまた、難しい話となりますが、一つ例えて説明します。
【例】Aさんは、Bさんの家の窓ガラスを割ってしまい、窓ガラスの損害額は2万円となりました。
上記の場合…
- AさんがBさんの家の窓ガラスを割った行為が、「加害行為」
- Aさんの加害行為により、損害(2万円)が生じた
- 上記の「加害行為」と「損害」には、因果関係(わかりやすく言うと、関連性みたいなもの)があると言えます。
不倫の場合、不倫行為自体を「加害行為」と言えます。また不倫によって配偶者が精神的苦痛を受けることにより「損害」が生じたと言えます。なので、この場合「加害行為(不倫)」と「損害(精神的苦痛)」に因果関係があると言えます。
当たり前のことなんですが、中々ありえない話ではありますが、配偶者が「精神的苦痛」を受けなかったとなれば、因果関係が成立せず、慰謝料請求ができなくなります。
(4)婚姻関係が破綻していない
「夫婦」といっても色んな夫婦がおります。法律上、見た目「夫婦」であっても中身は既に夫婦として破綻しているケースもあります。例えば破綻はしているが、子供のために夫婦を続け、いずれ子供が大きくなったら離婚を予定しているとか…。
このように婚姻関係が既に破綻している状態で「不倫」をした場合、慰謝料は請求できません。破綻=精神的苦痛とはならいはず?です。
ここは難しいところです。既に夫婦双方が気持ちが無いため、不倫相手と不倫に至った。(破綻していると思った)しかし、慰謝料を請求できる(お金がもらえる)から、急に態度を変える(夫婦として破綻していない)人もいます。
難しいケースですがこの場合、請求させないためには、既に破綻していた事を立証する必要があります。
3.慰謝料の金額はどのようにして決定するのか?
慰謝料は、、被害者(不倫をされて人)が加害者(不倫をした人)に対し、精神的苦痛に対する賠償金であります。
そーすると、次にでてくる問題は『いくら(お金)』請求できるの?となりますが、ハッキリ決まっている訳ではありません。大抵は様々な事情を考慮し、決まります。
(1)様々な事情によって決定
事情① 離婚の有無
不倫に至ったからといって、必ず離婚する訳でもありません。
般的に、不倫が生じた場合、その後に夫婦が婚姻を継続する場合より、離婚するのが多いです。
しかし、離婚に至った場合、原因はその不倫だけなのか。もしかしたら、DV等、不倫以外の原因がある場合、想定した慰謝料が少なくなる可能性があります。
事情② 不倫前の夫婦関係、婚姻期間と不倫をしていた期間
- そもそも不倫前の夫婦関係は良好だったのか(あまり口を利かない、家庭内別居等)、夫婦の婚姻期間はどの程度あったのか
- 不倫の期間や頻度、また婚姻期間はどの程度あったか。
※不倫期間が長い、会う頻度が多い、婚姻期間が長い等…このようなケースは慰謝料が高くなる傾向があります。
(2)精神的損害はあいまい
『精神的』な部分は100人いれば、100通りです。例えば旦那さんが不倫しても何とも思わない奥さんもいますし、奥さん以外の女性とコッソリ食事に行ったり、手を繋いだだけでも、ショックを受ける(精神的苦痛)人もいます。
このように、精神的苦痛とは、そもそも目に見えない『精神的な部分』を金銭に換算するから、慰謝料額を計算式で出すことは難しいのです。
(3)裁判所が考慮する要素
精神的苦痛がハッキリとしないように「〇〇の内容の不倫であれば、慰謝料〇〇円」「〇〇年の不倫であれば、慰謝料〇〇円」と、裁判所も決めている訳ではありません。なので、裁判例(過去の裁判結果)を読んでも明確な基準(慰謝料額)を裁判所が示しているわけではなく、不倫裁判(内容)毎に金額が決まります。
では裁判所適当に決めているかというと、そうでもありません。慰謝料を決める一定の内容を考慮して決定しています。
① 不倫前後の夫婦関係
不倫前の夫婦関係の親密度や不倫後に離婚に至ったかどうかなどを考慮
例えば、不倫前の夫婦関係が円満であればあるほど高額になりますし、不倫後も婚姻を継続する場合よりも離婚に至る場合のほうが、慰謝料額は高くなる傾向にあります。
② 不倫の婚姻期間
一般的に、結婚直後に不倫があった場合、被害者の精神的損害が大きいと思います。しかし、裁判上では婚姻期間が長ければ長いほど、不倫の慰謝料額は高くなる傾向にあります。
③ 不倫の回数・期間
女性の立場からすると1回でも100回でも、1ヶ月でも10年でも、不倫である事には変わりはないと思います。
しかし、裁判上では関係を持った回数が多ければ多いほど、不倫期間が長ければ長いほど、不倫の慰謝料額は高くなる傾向にあります。
④ 被害者の苦痛の頻度
例えば、不倫の事実を認識した後、精神的に病んで心療内科に通う、食欲不振、不眠等このような事情があれば、それだけ被害者の苦痛の程度は大きいとされます。
⑤ 不倫した二人の積極性の強弱
もちろん不倫は一人でするものではなく、二人で行われるものです。
もし、その二人のうちの一人が不倫関係を解消したい意思があるのにも関わらず、一方の相手が不倫関係の継続を希望し、不倫関係が続いた場合、関係を継続しようとした一方への責任は大きいとされ、慰謝料額も高くなる傾向となります。
【例】既婚者である男性が関係を解消したい意思があるにもかかわらず、独身女性が「解消すれば奥様に話す!」などと言い、関係が継続された場合、その独身女性が支払うべき慰謝料額は高くなります。
⑥ 当事者双方の社会的地位と加害者の資力
芸能人同士の不倫などがこれにあたり、社会的地位や資力が高いと、慰謝料額が高くなる傾向にあります。
⑦ 同棲の有無
単なる不倫にとどまらず、その不倫期間中に同棲しているような場合、慰謝料額も高くなる傾向があります。
⑧ 妊娠出産の有無
例えば奥さんが妊娠や出産等の特殊な事情がある場合、その奥さん(被害者)の受けた精神的苦痛も大きいとされ、慰謝料額も高くなる傾向があります。
離婚届・婚姻届の証人がいない…
当事務所が証人代行します
【 全国対応・証人2名4,500円 】
宮城県仙台市 よしだ行政書士事務所
代表: 吉田 貴之